・外壁塗料の種類や価格を知りたい
・塗料の選び方についてのヒントが欲しい
今、このように考えてはいませんか?
外壁に使う塗料は、日ごろから目にしたり手にしたりすることはありませんので、詳細について知る機会はなかなかありません。ただ、外壁塗装を依頼するには高い金額がかかりますので、事前に情報を得てある程度の判断ができるようになれば有利に進められます。
この記事では、愛媛県で塗装業を営む弊社から、外壁塗料の種類や価格、選び方について知っていただきたいことをお伝えします。最後まで読んでいただければ、外壁塗装をするときの失敗を予防できるでしょう。
基本的な外壁塗料の種類と特徴・価格
外壁塗装に使われる塗料のうち、基本的な種類にはどのようなものがあるのでしょう?ベーシックな塗料の種類と価格を知れば、特別な機能を持つ塗料と比較しやすくなります。
種類 | 単価(1㎡あたり) | 30坪の場合の相場 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
アクリル | 1,000~2,000円 | 13~25万円 | 3~8年 |
・コスパの良さ |
ウレタン | 1,800~2,500円 | 20~25万円 | 5~10年 |
・コスパの良さ |
シリコン | 2,300~3,700円 | 30~45万円 | 8~15年 |
・費用は高め |
フッ素 | 3,500~5,000円 | 42~55万円 | 12~20年 |
・高コスト |
※相場は目安です
機能性の外壁塗料の種類と特徴・価格
では、近年増えてきた「機能性塗料」の種類と価格の目安を見ていきましょう。
種類 | 単価(1㎡あたり) | 30坪の場合の相場 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ラジカル制御 | 2,200~4,200円 | 26~50万円 | 8~15年 |
・比較的安価 |
光触媒 | 3,800~5,800円 | 45~70万円 | 10~20年 |
・塗料としては高額 |
無機 | 3,200~5,700円 | 40~70万円 | 10~25年 |
・塗料の中では高額 |
遮熱/断熱 | 2,500~5,000円 | 30~60万円 | 10~25年 |
・比較的安価 |
※相場は目安です
このように機能性塗料は一般的な塗料と比べて、価格が高めです。しかし、機能性塗料には「耐火性能を持つ」「汚れが落ちやすい」などといった”機能”を有しています。
機能とコストのバランスを比較して検討するようにしましょう。
外壁塗装をする前に確認しておくべきこと
外壁塗装を検討するにあたり、ふたつのことを確認しておきましょう。大事な要素を知らずに予算立てすると、失敗することがありますので、次の2点に注意を払ってください。
・外壁材の種類を知る
・外壁の状態をチェックする
では、その大切なふたつのポイントについて解説します。
外壁材の種類を知る
まず、あなたの家の外壁材の種類を確認してください。外壁材によって相性のいい塗料の種類がわかります。
外壁材がわかれば、選ばなくてはならない塗料の種類が判断でき、それをもとにある程度の予算が見えてきます。
外壁材の種類に対応する塗料は、次の通りです。
・モルタルに適している塗料:ウレタン塗料/シリコン塗料/フッ素塗料
・窯業系サイディングに適している塗料:アクリル/ウレタン/シリコン
・木質外壁材に適している塗料:ウレタン
また、サイディングの場合、直貼り工法(外壁下地に直接貼り付ける)なのか、通気工法(外壁下地に木材などをはさみ空気や湿気を通りやすくする)なのかも見ておくと安心です。
外壁の状態をチェックする
次は、外壁の状態を確認してください。傷みが多いなら、コーキングといった補修作業の費用が高くつく可能性が高まります。
具体的にチェックしていただきたいポイントは、以下の4点です。
外壁の状態 | 外壁で起こっていること |
---|---|
コケが発生しているか | 塗料の問題もしくは経年劣化 |
ヘアークラック(細かなひび割れ)があるか | 経年劣化 |
チョーキング | 経年劣化 |
ピンホールや気泡 | 塗膜の欠陥 |
チョーキングとは、以下写真のように外壁を手でなぞったとき白っぽい粉がついてくることを指します。
外壁の経年劣化が進んでいるため、塗り替えのサインといえます。
気泡とは以下のような状態を指します。
塗膜の欠陥が起きている状態ですので、塗り替えが必要です。
以下の写真はクラックが起きている様子です。
大きなひびから、細かく見えづらいひびまで多種にわたります。
外壁塗装業者は、塗装の状況を確認するため30倍スコープといった機材を持っています。ヘアークラックやピンホールは肉眼で確認することが難しいこともありますので、専門家にチェックを依頼するとより安心です。
塗料の価格と耐久性を合わせて考える
実際に外壁塗装を依頼するとき、塗料の価格と耐久性とを合わせて考えると、合理的な判断ができます。塗料は「水性」「溶剤」タイプに分かれますが、さらに「1液でいいもの」「2液を混ぜるもの」に分類されます。
耐久性と価格のバランスを知るため、次の表を参考にしてください。
耐久性【低】 | → | → | 耐久性【高】 |
---|---|---|---|
水性の1液 | 溶剤の1液 | 水性の2液 | 溶剤の2液 |
価格【低】 | → | → | 価格【高】 |
水性の1液 | 溶剤の1液 | 溶剤の2液 | 水性の2液 |
1液2液や/水性・溶剤といった分類は、塗料商品で違います。
塗料の種類 | 備考 |
---|---|
アクリル |
・溶剤1液 |
ウレタン |
・溶剤1液か2液 |
シリコン |
・溶剤1液か2液 |
製品により違いますので、もしも興味のある塗料があるなら、ネットで調べたり、外壁塗装業者に聞いてみたりすると安心です。
外壁塗料の選び方4つのポイント
「塗料についてもっと詳しく知りたい」「業者に選んでもらうとき、自分でもきちんと理解し、納得したい」という方のために、ここでは外壁塗料の選び方4点をご紹介します。
・特殊機能が必要かどうか
・色やツヤの好みはどうか
・外壁材との相性や家の建つ環境への対応はどうか
・コストと耐用年数とのバランスはどうか
この視点から、バランスの取れた塗料選びをしてください。
特殊機能が必要かどうか
外壁塗装に使用する塗料には、特殊な機能を取り入れているものがありますが、「本当にその機能が必要かどうか」を考えてみてください。
高機能な塗料は、汚れが落ちやすい、断熱性が高い、塩害を受けにくいといった効果を得られますが、その分高価です。効果とコストとの折り合いをつけるためにも、特殊な機能を持つ塗料を選ぶべきかどうか、慎重に検討してください。
色やツヤの好みはどうか
塗料(製品)によって、色やツヤが違いますので、選ぼうとしている塗料が家のイメージに合うかどうかを考えてみてください。業者に頼んだり、ホームセンターに出向いたりすれば、カラーサンプルを見ることができます。
色の印象を理解したり、人に伝えたりするためには、次の3つを知っておくと有利です。
・色相:色そのもの。青・赤・黄の三要素からなり、大きくは暖色系/寒色系に分類される
・明度:色の明るさ。明度が高ければ柔らかく、明度が低いとしっかりとした色味を感じられる
・彩度:色の鮮やかさ。彩度が高いときビビッドに、再度が低いときは落ち着きを感じられる
「せっかく塗装しなおすなら印象を変えたい」というときは、色ツヤを把握したうえでツートンカラーを計画するのも面白いでしょう。もし、ツートンカラーを採用するときは、「同系色の組み合わせ(ちぐはぐなイメージの回避)」「白とはっきりとした色の組み合わせ(個性的なカラーリング)」を検討してみてください。

「同系色の組み合わせ」の例

「白と濃い色のツートーンの家」の例
この方法なら、奇抜になりすぎず失敗しづらいので、専門的な知識がなくてもご自分でイメージできます。
外壁材との相性や家の建つ環境への対応はどうか
上でも触れた通り、外壁材によっては希望通りの塗料を使えないことがあります。外壁素材との相性がよくなければ、適切に塗り固めることができず失敗してしまいます。
外壁材に合う種類の塗料の中から、好みの色ツヤのものを選ばなければなりません。また、周囲に家が多く立ち並んでいるなら、できるだけ周囲から「浮かない色」を選ぶと無難です。
ときに、外壁の色が住民同士のもめ事の原因になってしまうことがありますが、長く住む家ですから、ご近所トラブルにつながらないよう工夫することも大事です。
コストと耐用年数とのバランスはどうか
塗料選びの方法のうち、最もベーシックな視点が「コストと耐用年数のバランス」です。極端にいえば、「多少高くても長持ちするほうがいい」「短めのスパンで安く何度も塗り替えたい」とのどちらかから考えるといいでしょう。
安く仕上がる塗料は耐用年数が短いので、どうしても塗り替えの頻度が高くなり、その家が存在する間のトータルコストは高くなってしまいます。ただ、家を所有する間、いつでも潤沢な資金を持っているという方以外、「今回は安めに仕上げたい」というときもあるでしょう。
特にコストについては、外壁塗装専門業者に相談しながら決めるのが安心です。
塗料選びで迷ったらどうする!?おすすめ塗料5つ
塗料選びは、様々な観点から検討しなければならないので、カンタンなことではありません。地域の気候などの視点から塗料を選ぶこともあります。
弊社は愛媛県内で塗装業を営んでいますが、参考までに愛媛で特におすすめの塗料を紹介します。ポイントは、「塩害」「夏は暑い」という点です。
愛媛県以外にお住まいの方も、「似た気候のエリアに住んでいる」「塗料の特徴が求めるものに合致している」場合には、塗料選びのヒントにしていただければ幸いです。
塗料名 | 特徴 | 選ぶ目的 |
---|---|---|
防水塗料EC5000 |
・モルタル/コンクリートに対応している |
防水や雨漏り対策 |
低汚染リファイン1000 |
・日光反射率が高いことで、遮熱性に優れている |
暑さへの対策 |
ガイナ |
・セラミック含有で高い断熱・遮熱性がある |
暑さへの対策 |
ピュアライドUVプロテクトクリヤー |
・ケイ素+酸素が強く結合することで、劣化しづらい |
紫外線対策/長耐候 |
パーフェクトセラミックトップG |
・親水性が高く、雨水が汚れを洗い流してくれる |
紫外線対策/長耐候 |
これらは、「機能性塗料」で比較的高価なものではありますが、「家が塩害に悩むエリアにある」「夏場は高い気温を示す」愛媛県内の家には適しています。愛媛県外の方も塗料選びの参考にしてみてください。
外壁塗装の手順
数ある種類の塗料の中から、「これ」という製品を選んだら、次は実際に外壁塗装の工事に入ります。工事の流れは、次の通りです。
1.足場組立+養生ネット張り
2.高圧洗浄
3.下地処理(シーリング/コーキング)
4.養生
5.下塗り+中塗り+上塗り
6.足場の解体と周囲の清掃
それぞれの段階で、具体的にどんなことをするのかご説明します。
1.足場組立+養生ネット張り
まずは、足場の組み立てをし、足場を覆うようにネット張りをします。足場は安全で丁寧な作業に、養生ネット(飛散防止シート)は塗料がご近所に飛び散らないために必要不可欠なものです。
2.高圧洗浄
次は高圧洗浄です。長い間のホコリや汚れを落とすと同時に、塗膜の崩れで生じる粉(チョーキング)を洗い流す必要があります。
次に塗る塗料をしっかりと乗せるため、汚れの類はしっかりと取り除かなければならず、その点で高圧洗浄は大事なステップです。
3.下地処理(シーリング/コーキング)
汚れが落ちたら、下地処理に入ります。下地処理とは、劣化した部分を補修する、金属部分のさびを除去する、次の塗料がしっかり定着するよう前の塗膜をあえて荒らす、といったものがあります。
外壁材の種類や劣化度合いに合わせ、丁寧な下地処理が求められます。なかでも重要なのが、シーリング(コーキング)で、雨水の染み込み予防や、美観を損ねるヒビを目立たなくするために行います。
養生
続いては、養生をします。塗装する場所以外(サッシなど)に塗料がついてしまわないよう、薄いビニールシートを貼っていきます。
養生もまた、とても繊細な作業です。養生に使うマスキングテープの貼り方ひとつで、「塗るべき箇所のラインが美しく出るかどうか」をも決めてしまうのです。
5.下塗り+中塗り+上塗り
いよいよ外壁塗装の本番、「下塗り+中塗り+上塗り」へと移行します。外壁の状態、または上塗り塗料(いわゆる塗料)により、下塗りに使うものは違います。
密着度など塗装の完成度を左右する下塗りは、とても重要です。通常、下塗りと中塗りは同じものを使い、完全に乾燥したらいわゆる塗料(あなたが指定した色やツヤのもの)を塗ります。
6.足場の解体と周囲の清掃
塗装が完了したら、足場を解体して養生シートをはがし、敷地内の清掃を行います。せっかくきれいに塗装したのですから、最後の作業まで手を抜かない業者は「良い業者」と評価できます。
近隣住民へのあいさつをしておくとトラブルを最小限にできる
外壁塗装工事のスケジュールがきまったら、近隣の方にもあいさつをしておきましょう。スケジュールを添えた挨拶状を持参し、「期間中はご迷惑をおかけします」と可能な限り対面で連絡をしておくと、トラブルを最小限にとどめることができます。
必要に応じて、塗装業者が作業中に使ってもらう自動車カバーシートや挨拶状を準備してくれ、挨拶回りもしてくれます。業者の車の出入り、作業音、塗料のニオイといったことは、塗装をする家以外の家庭には迷惑です。
心のこもったあいさつは、後のトラブル回避のために必須です。
まとめ
今回は外壁塗装に使う塗料の種類や特徴、選び方、外壁塗装の手順について解説しました。外壁塗装は家を守るためにとても大事なことですが、そう度々行うものでもありませんので、塗料選び方や工事のステップを知っておくことは失敗予防に有効です。
特に次の3点は大切なことですので、忘れないようにしてください。
・塗料選びは、それぞれの種類の特徴を知ったうえで、あなたの求める優先順位に沿って比較検討する
・現在の外壁材の状況に応じて、使える塗料はある程度限定される
・おすすめは、防水性に優れたもの・暑さへの対策ができる「機能性塗料」
ご自分で塗料に関する情報を学ぶことも大事ですが、専門家だからこそわかることも多くあります。外壁材の素材や現状と、特定の塗料の相性といったことは、ネットや書籍ではなかなか知ることができません。
そんなわかりづらいことに関しては、どうぞ弊社にお気軽にご相談ください。
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